物件を探しているとき、その詳細情報欄に「市街化調整区域」とか「市街化区域」などの記載があると思います。特に田舎の物件では、「市街化調整区域」と表示されていると注意が必要です。

「市街化区域」は原則として家が建てられますが、「市街化調整区域」は原則として家が建てられない土地です。

都市計画法の目的

都市計画法は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的に定められた法律です。
この法律により、住宅を建てられる場所と建てられない場所が定められています。

家が建てられる土地かどうかを判断する

家が建てられるかどうかはこの「都市計画法」によって定められた「都市計画」によって決まります。

まず、都市計画がそもそも定められているかどうかがあります。都市計画が定められていない「都市計画区域外」及び「準都市計画区域」また、都市計画区域内であっても「未線引き及び白地地域」については、他の法令の規制がない限り原則として家を建てることができます。

注意が必要なのは「市街化調整区域」です。こちらは原則として宅地造成も一般の住宅を建てることもできません。基本的には田畑や自然を守るための地域となっています。例外としてすでに農家の住宅や開発許可が得られている場合や、すでに建物が建っている敷地に関して例外的に家が建てられますが、様々な制限があり、たとえ改築・リノベーションをする場合にも、基本的に自治体に開発許可を受けなくてはなりません。

「都市計画調整区域」の物件情報が格安で出ることがありますが、理由はこの様々な制限があるので、なかなか売りにくいことがあげられます。

都市計画法区域

用途地域とは

都市計画法に基づき、用途地域が指定されると、それぞれの目的に応じて、建物の種類・建ぺい率・容積率・高さ制限(第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域)・前面道路幅員別容積率制限(道路幅員に乗ずる数値)・道路斜線制限・隣地斜線制限・日影規制が決まっています。

用途地域とその特徴

第一種低層住居専用地域

低層住宅の良好な住環境を守るための地域。1~3階建ての住宅、(床面積の合計が)50m²までの住居を兼ねた一定条件の店舗や、小規模な公共施設、小中学校、診療所などを建てることができる。

第二種低層住居専用地域

主に低層住宅の良好な住環境を守るための地域。2階建て以下で、150m²までの一定条件の店舗等が建てられる。 例として、第一種低層住居専用地域の例に加え、コンビニなどの小規模な店舗などがあるもの。

第一種中高層住居専用地域

中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。500m²までの一定条件の店舗等が建てられる。中規模な公共施設、病院・大学なども建てられる。 4階建てのアパートやマンションも建設可能で、店舗もが目立つようになる。

第二種中高層住居専用地域

2階建て以下で1500m²までの一定条件の店舗や事務所等が建てられる。例として、小規模のスーパー、その他やや広めの店舗・事務所などがあるもの。

第一種住居地域

3000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。例として、中規模のスーパー、小規模のホテル、中小の運動施設、その他中規模の店舗・事務所などがあるもの。

第二種住居地域

10000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。具体例としては、郊外の駅前や幹線道路沿いなど。アパートやマンションがあり、大きめのスーパーや商業店舗・事務所などが建てられる。

準住居地域

自動車関連施設などと、住居が調和した環境を保護するための地域。10000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等や、小規模の映画館、車庫・倉庫、環境影響の小さいごく小規模な工場も建てられる。

田園住居地域

農地や農業関連施設などと調和した低層住宅の良好な住環境を守るための地域。ビニールハウスなどの農産物の生産施設や農産物・農業の生産資材の倉庫等のほか、500m²までの一定の地域で生産された農産物を販売する店舗等も建てられる。

近隣商業地域

近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の、業務の利便の増進を図る地域。ほとんどの商業施設・事務所のほか、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等のほか、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場も建てられる。

商業地域

ほとんどの商業施設・事務所、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場のほか、広義の風俗営業および性風俗関連特殊営業関係の施設も建てられる。

準工業地域

主に軽工業の工場等、環境悪化の恐れのない工場の利便を図る地域。住宅や商店も建てることができる。ただし、危険性・環境悪化のおそれが大きい花火工場や石油コンビナートなどは建設できない。

工業地域

工業の業務の利便の増進を図る地域。どんな工場でも建てられる。住宅・店舗は建てられる。学校・病院・ホテル等は建てられない。

工業専用地域

工業の業務の利便の増進を図る地域。どんな工場でも建てられる。住宅・物品販売店舗・飲食店・学校・病院・ホテル等は建てられない。福祉施設(老人ホームなど)も不可。住宅が建設できない唯一の用途地域でもある。